#2ヒッピーという猫がいた



ヒッピーという猫がいた。

店の軒先でよく晴れた日には毛繕いをして、雨の日には雨宿りをしていた

猫のことだ。

野良なのか、飼い猫なのか判らないけれどいつもふらふらと街を彷徨う

風来坊のような黒猫。

そんな生き様を見て、ヒッピーという名前はぼくが勝手に命名した。

ヒッピーが眠たげな街を、美しい夕闇に包まれた街を見上げるとき

黒猫の後ろ姿に一瞬だけ真理が見えた、ような気がした。

ヒッピーという猫がかつていた。

この街は今日もしずかに暮れていく。