#53 #10代 #格言 #図書館 #魚の捕り方 #おこづかい1000円/週 #実験 #虹

「今日、いい格言、見つけたんだ」

打ち合わせから帰ってきて、まだ外モードのスイッチが半分入っている私に向かって、前ぶれなく息子は言い、返事を待たずにパラパラと本をめくりだす。こないだの休日、紫波町図書館で借りた10冊のうちの一冊。『10代からのマネー図鑑』という本で、図鑑という名前にぴったりの分厚い表紙。10代!そうか、10歳ってもう10代なのね。急に小さい大人と一緒にいるような不思議な気分を味わっていると、「あった、これこれ」とにっこりして、声に出して読んでくれた。

「人に一匹の魚を与えれば、一日養うことができる。人に魚の捕らえ方を教えれば、一生養うことができる。」


6月上旬、高校生のみなさんにお話する機会をいただいた。テーマはワークライフバランス。依頼をいただいた時におもわず口から出そうになった「わたしの話でいいんでしょうか」という言葉。飲み込みきれず、ぽろぽろとあちらこちらで漏らしたりしながら、迎えた当日。

難しいことはお話できない!だって難しいこと考えていないから!と腹をくくって、今の自分の毎日がどんなで、過去がどんなで、これから思い描いていることはどんなか、をお話ししてきた。

その時間の中で高校生から一番反応があったのが「我が家のおこづかいは、一週間に1000円です」と言った時だったなあと。「多すぎ!」とか「絶対無駄遣いしてる!」とか「羨ましいー」とか、ざわめいて、そのあとに「1000円、高いと思う? でも、掃除と洗濯とお皿洗いを毎日する対価だと思ったらどうかなー?」と話すと、ざわざわした教室は少し静かになった。


そのとき、大人が思う正しいことを伝えて、そちらに誘導して、失敗しないようにするの簡単だ。思えば自分だってそんなふうに「失敗しないように、間違わないように」育ててもらった気がする。でも、仕事でも生活でも山ほど(ほんとにたくさん)失敗してきて実感しているのは、こどもたちを近くで見守ることができるうちに、たくさん失敗させてあげたい、ということ。

お金だってそうだ。いまのうちに、誘惑に負けたり、貯められなくて試行錯誤したり、貸したお金が戻ってこなかったり、そういう経験を小さいお金でやってみてほしい。その気持ちをわかることができないと、稼ぐ楽しさ、お金の大切さ、何を与えてくれるのか、そういう気持ちを味わえる場所にたどり着けないんじゃないか。そんな仮説をもとに、掃除・洗濯・洗い物の対価として1000円払う生活を続けている。


そう、それで、冒頭の格言の話。わたしは、お金のことに限らずだけど、子どもに「一生養える魚の捕り方」を身につけて欲しいと思っているんだ。自信を持って、「失敗しても大丈夫!」、と、にっこり笑って、自分を、他人を喜ばせるようなお金の使い方、できたらいいよね。さっき「仮説」という書き方をしたのだけど、子育ては誤解を恐れずにいえば、大きくて長くて楽しい実験。


今日も夜中になってしまったなー。読んでいただき嬉しいです、ありがとうございます。

保育園では最近、毎日、水遊びをしています。ホースで霧状に水をまくと虹が出て、その下をこどもたちが裸足で走って。みんなお風呂上がりみたいに濡れた髪で、きっと、ゆあがりもこんなふうにかわいらしいのだろうな、と他の先生たちと話しています。

大人も水遊び、気軽にできたらいいのにね。虹の下をくぐりっこしたりさ、たまにはしたい。

#52 #流行り病 #ひたすら家に #こども色 #地平線

保育園に勤めはじめてから、大なり小なりいろいろな流行り病があったけど、なんとなくうまいこと乗り越えてきて。「免疫、意外とあるな。ふんふーん♪」なんて思っていたら、先日ついにお腹の風邪をもらってしまった。幸い症状は重くなく、元気はあったのだが、感染性だったので数日あれもこれもお休みをいただいて、ひたすら家にいた。

保育士の仕事と、それ以外の撮る、書くお仕事。イベントの準備。小学校は家庭訪問と運動会なんかもあり、スケジュール帳をパラパラ見返したらしばらく「休んだー」という実感を持てるような休みがなかったことに気づく。

夜9時、「おかあさん、今日は、おふとんもうこれる?」ってそーーっと聞かれて。その小さな声に「一緒に横になっちゃうと、そのまま寝ちゃうからさー、まだお仕事したいんだ」、顔だけはにっこりとして、そんなふうに返事をして、おやすみをして、パソコンに向かう日が増えていた。

なるべく、寝る時にはそばにいて、体に触れて、本を読んで、少し話をして、眠りについてほしいと思っていたのにな。毎日のこと、っておろそかになってるのになかなか気づけないんだ、ってことに気づけた、数日の丸ごとのおやすみでした。

だいじにしたいの、わすれちゃだめですね。


もうひとつ。このおやすみ期間は、LITERSの軸について考えていました。盛岡という街に違う角度から光をあてられたら、そう思って立ち上げたLITERSも1年の節目が近づいてきました。

1年前と変化したことはたくさんありますが、自分の中で大きかったのは「盛岡という星で」というプロジェクト。携わらせてもらう中で、当初LITERSでやりたいと思っていた目標、いや、それ以上の表現に、たくさんのクリエイターの皆さんと一緒に取り組むことができている。背伸びしたり、冷や汗や、恥もたくさんかきながらの毎日ですが、1年前の自分が見たらきっと驚くような景色だなと思っています。

そんな毎日の中で、じゃあLITERSはどうしていこうか、と。昔の手帳を見返して、頭の中をひっくりかえして。
なんとなく、みえるようなみえないようなところまで来た昨日、尊敬している先輩とやりとりしている途中で突然「今更ですが、悩み相談してもいいですか?」と前置き。さっき書いたような現状をお話ししました。

「うんうん」という、にこにこした相槌に引っ張られるようにでてきたのは、「やりたかったことで、まだやれてないことで、誰かが喜ぶことで、自分が好きなこと。今のLITERSの色にもう一色加えるとしたら『こども色』かな、と思う。家族でもっと街にでて、いろんなお店を歩いたり、景色を楽しんだり、美味しいものを食べたりすることのきっかけを作りたいです。『違う角度』から盛岡に光をあてたい、と思ったけど、こどもたちが盛岡を知って、そこに光を、こどもたち自身が『自由な角度』から、あてたくなるようなお手伝いがしたい。」こんな言葉。結局「悩みじゃないじゃないですか、抱負じゃないですか笑」というツッコミをいただきながら、長いこと悩んでいたトンネルからポンっと抜け出したのでした。

そんなわけで、LITERSはすこしずつ「こども色」もプラスして、再出発していきたいとおもいます。ご一緒に企んで、楽しんでもらえたらいいなあ。


立ち止まって、考えて、また進んで、ですね。

手帳にあった自分の文字に励まされてみたりして。「地平線 進めるところまで進んでいって 新しい景色をみよう」

そうだね、みにいってみようね。

長かったですね、読んでいただいてありがとうございます。

今日も、げんきで。


Due Mani 田植え@自然農園ウレシパモシリ

6月3日、朝7時半集合。夏の空色、入道雲の下、窓を全開にした車に乗り合い、東和町にあるウレシパモシリさんへ向かいました。「亀の尾」の田植え作業を、おてつだいに。

ぐるりと高い木々に囲まれた中にある田んぼ。にわとりの声をBGMに、農園の代表、酒匂(さかわ)さんから田植えの説明を聞きます。

「機械で植えた稲よりも、手で植えた方がしっかり根付く」と酒匂さん。

装備を整え、田んぼへ向かいます。

苗を植える場所はあらかじめ引いてある線と線が交わるところ。8本を目安に苗を手で小さく分けて植えていきます。深さは第一関節分まで、一人3列ずつ。根にダメージが少ないよう、土をほぐしながら苗を数えて、植える。植える。

DueManiのシェフ小澤さんはこの速さ。横一列でスタートしたはずなのに、遥か先でした。

青い屋根は鶏舎。「にわとりって、こんなに気持ちよさそうに鳴くんだね」と、かがんだ背中に目一杯お日様を浴び、隣の3列を植えていた方と笑ったり。

空を飛ぶ鳥の弾むような声と、鶏の長くおしゃべりするような声、足が浸かる泥の感触。

苗を小さく分けると、どうしても根が切れてしまう、ごめんね、と。

午前中で一枚が終了。終わる頃には膝の裏側が日焼けで真っ赤になっていました。日差しでヘトヘト。喉はカラカラ、お腹もぐーぐー。

手と足を洗ってお昼ご飯に。「ウレシパさんのごはんは、本当においしいよ」小澤さんに聞いていたけど、ほんとうにその通り。

ウレシパさんのお料理は、一口たべては「へー、ごぼう!」「はー人参…。」「わーお肉!」しげしげと眺めたり、小さくかじって断面をみてみたり。ゆっくりと、たっぷりと、食べたくなるお皿ばかりでした。

鍋丸ごと同じ味になる、我が家の煮物との差よ…子どもたちにも食べさせてあげたいなあ。 

ご飯といっしょに、自己紹介の時間もありました。一期一会ですが、午前中を終え、すっかりチームのような気持ち。

そして料理を仕事にしている方って、作るのもプロだけど食べるのもプロなんだなあと思うような食べっぷり。(小澤さんはおにぎり6.5個食べてた)

目にも耳にもにぎやかなテーブルを飛び交う、調理や、産地、農法など、耳慣れない言葉。「田んぼや畑」と「お皿の上」のその距離は、私が思っていたよりずっと近い。うんうんと頷き、むぐむぐと頬張りながら、その関係性をまるごと味わっているようでした。

そして午後の部へ。

田んぼに足を入れるとひんやりと冷たい。午前中よりジリジリと背中が暑くなる日差し。でも、一枚植えてでだいぶ慣れました、二枚目もがんばるぞー!

植えながらポツポツとお話も。遠くても、人の話す声がすっと通るのはなぜなのかな。空気がきれいだからなのかな。

時折ふーーっと大きめの風が田んぼを横切って、植えたばかりの苗が風の通った順に揺れて、その度に「今のはいい風だったね」と声がきこえて。

土がたくさん付いた手のひらは、ため池の水で流します。

参加していたお洋服屋さんの男の子は「きれい、って感覚の基準が新しくなる」と話していました。居心地のいいお店、すてきな服、ふるまいや言葉。「きれい、うつくしい」への感覚を大事にしているであろう彼の口から出た「基準が新しくなる」というフレーズはとても頼もしく。

午後のおやつは冷たいカスタードと、キュッと酸っぱい梅のゼリー。

午前、午後で2枚の田植えが終了。

働いたあとにはきらきらのごほうびがまっていましたよー!ハシゴをもって行った先にはおおきなサクランボの木。

稲刈りや草取りもあるね、またね、と、1日ご一緒したみなさんと別れ、帰路につきました。


#仙北町駅

たちどまっていたくないな、いまは。と思いました。

久しぶりの赤ちゃんの撮影は賑やかに、健やかに終わって、電車に揺られて仙北町駅まで。撮影のあれこれが入った大きなカバンとカメラが入ったバッグと、「おみやげに」といただいた、大きな紙袋を持ってホームに降りたとき、嬉しいメールが入った。

自分でいいのかな、私じゃない人のほうがうまくできるんじゃないかな、そんな気持ちがふっとよぎったけど、いや、やりたいんだ、わたしは。怖がらずにやろう。そう思って「ありがとうございます、ご一緒できて嬉しいです」と短くメールを返した。

重い荷物を斜めにかけたり、手に持ったり、夏休み明けの小学生みたいになりながらひとり、家までの道を歩く。歩いて、走ってしている途中にいいアイデアが浮かぶといったのは誰だったか。作家だっただろうか。スティーブジョブズだったような気もする。

つい立ち止まって考えて、次の一手を出せなくなる。それはそろそろ卒業したいなあ。

「背伸びせず かかとをしっかりつけて いきましょう」かかと、ね。ずっと背伸びしているような気でいて、しっかりかかとを、とおもったら目の奥がじんとした。

きょうはLITERSへお越しいただきありがとうございます。

すぐに結果が出なくてもいいから。時間がかかってもいいから。それでもつづけていきたいのですよね。明日は田植えに行きます。たのしみ。立ち止まらず、ゆきましょうね。

HouseM 21

ただいま、

キッチンからは、なんだろう、スパイスの香りが。

「おかえり」

静かな音楽は、声よりも少し離れた場所から。

キッチンに声をかけたのだけれど、あれ、いない。

コンロには、大きなルクルーゼいっぱいに野菜とお肉がぐつぐつぐつ。

今日はカレーだな。

このルクルーゼはきれいな黄色。

彼女がこの色を選んだ理由は「カレーを作るのにぴったりだから」

「はやかったね」

今日買ったばかりなのか、見慣れない本といつもの裁縫道具を両方、いっぱいに広げた机の上。

背をぐーっと、大きくそらして、こちらにひらひらと手を。

手を洗おう。外から帰ってきて手を洗うのは、バイキンを落とすためだけじゃない。

1日分の言葉のやり取り。そのかけらが手のひらに残るから、それを一度リセットするのだ。強い言葉も弱い言葉も。

ひんやりと香る両手と一緒に、寝室へ。ベッドに一度腰を下ろす。

ここで背中まで預けてしまうと、一気に眠くなるので、ぜったい腰まで。

目に入るのは一枚の絵。

僕は絵を飾る習慣が彼女と生活するまで、まったくなかった。

「暮らす中に絵があるって、いいよ。窓が一つ増えたみたいになるし、とっても気持ちよく過ごせるから」

うん、たしかに。絵にも「おかえり」と言われているよ。

早めの夕食を終えてリビングへ。

彼女は、昼間の裁縫の続きを。僕は僕でのんびりと。

集中しているのだろう、口数も減って。時折伸びをする。

その背は我が家のもう一枚の絵。気持ちよく暮らしていける、窓のような。

ぱちんぱちん、と白いスイッチで電気を消していく。

また1日が。今日も1日が。ぱちん、ぱちん。

おやすみおやすみ。またあした。


これからこの家で、どんなふうにドアが日々開き、

「おはよう」「おやすみ」「ただいま」「おかえり」

どんなにたくさんの言葉が交わされるのだろう。

シャッターを切る手をとめて、ついその姿を思い描いてしまいます。

それは、ここが、ただの物件でもなく、建物でもなく。

「おうち」だからなのかもしれません。


HouseM21 HP

#51 中ノ橋通1丁目2-20

昨日の「盛岡という星で クリエイターズトーク」、準備に自転車で行き、帰りはタクシーで帰ってきた。

駐輪場に置きっ放しの自転車のことを、今日、鉄腕DASHがはじまる少し前の時間になってやっと思い出した。もう夕ご飯もおわってさ、部屋着で。あとはお風呂にゆっくり浸かろうーなんて思いながらクッションと一体化していたところだったので、立ち上がる決意をするまでに15分くらいかかった。

葛藤の結果、財布とiphoneと、家の鍵だけをサコッシュに入れて、なんとか群青色に変わっていく外へ出た。少し歩くと岩手県交通のバスが、まるで私が呼んだみたいにぴったりの時間に現れて、重たかった体はちょっと元気を取り戻した。

バスは混んでいたが静かで、後ろの20代の女の子二人が、夕食を中華料理屋とハンバーグ店で迷っている声だけが車内に浮かぶ。窓際の一人がけの席に、腰掛けてひと息。

外を眺めながら、昨日のことを思い出していた。人前でこんなふうにお話する機会を今年に入ってから3回ほどいただいた。毎回「ヒャー、ドキドキ」とはおもうんだけれど、少しずつ無駄な緊張は減ってきたような気もする。少しずつ慣れてきたのもあると思うし、保育園で「せんせい」と呼ばれて前に立つようになったおかげかもしれない。あ、毎回一緒にお話する側の方々が私の話したいことを熟知してくれているので、安心できるというのも大きい。

座った位置からは、聴いてくれている人たちの顔が最後列までしっかりと見えたなあ。うんうんと頷いてくれたり、笑ってくれたり、メモをとってくれたり。嬉しかった。


漫画家の森優ちゃんと、フルーツパフェみたいな模様がある!と、盛り上がった赤レンガ館の2階の壁。背の高いガラスの器に、さくらんぼ。に見えませんか…?(フォトグラファーのよしけんくんにも話たけれど、同意は得られなかった。)

クリエイターズトークのことはまたゆっくりと書きたいと思います。これからも、ハレよりケ、派手でなくても、いつもそばにあるもの。やさしさと余白を大事に「盛岡という星」での日々をお伝えしたいですね。


今日は満月。さっき外を眺めたら雲の間から8等分のケーキくらいの月が顔を覗かせてくれました。

今日もLITERSにお立ち寄りいただきありがとうございます。

窓を少し開けて夜風を入れて。さあ、明日からまた月曜日。