主菜でも副菜でもない存在になりたい[dessert]

仙台駅から東照宮へ続く青葉区宮町というエリア。小さな商店や町工場が並ぶ閑静な通りにdessertはある。代表の水越さんにお会いしてまずびっくりしたのは同行した岩手県盛岡市の家具店Holz(ホルツ)の平山さんと全く同じシャツを着ていたという事。思わずその場にいる全員に笑みが溢れる。かつて町工場だった物件をそのまま事務所兼作業場として使っているという、まるで大人の秘密基地のような場所でお話を伺った。

水越さんご出身は宮城ですか?

ぼく出身は茨城の水戸なんですよ。母親の実家が石巻のもうちょっと先の鮎川という地区で。親の都合でこちらに越してきて。こちらの方が長いんですけど。

学校もこちらですか?

はい、仙台なんですけど。ちょうど(同席しているHolz)平山くんと一緒で。

(平山) ぼくはすぐドロップアウトしたんですけど。水越くんはもう上の方で。

いやいや、ぼくは割とずるい生徒で。ほとんど学校行ってなかったんですけど、課題だけはしっかり出すような。

学校を出られて就職なさったのが?

はい。初めは設計事務所だったんですけど。学生時代に体験入社みたいな感じでその設計事務所に行くんですけど。それもまたずるい感じで。部長さんにすごく気に入られて。もしやる気あるんだったらウチこいよみたいな(笑)そこでもう就職先決まっちゃったみたいな。

そういう運持ってますねー。

それで3年くらいその事務所にいたんですが、学校や病院などの公共施設の設計の下請けをしていまして。有名なところだと『せんだいメディアテーク』とか。

-それはすごいですね。

毎日メディアテークの図面をひたすら一年くらい訂正し続ける日々で。ある日、現場にいるけど、全然現場の事知らないなと気づいて。すごく不安になってきちゃって。それで一念発起して、きりのいいところで辞めて。作り手の方の仕事をしようと思って。入った会社が内装をやっている会社だったんですけど。内装をしながら造作をする部分があって。ぼくはそういう仕事が一番肌が合うなーと思っていまして。それで設計と内装、両方の経験を持って独立したわけです。

 独立されたのはいつ頃ですか?

2005年ですかね。

ホームページで内装を手がけられたお店を拝見させて頂いたんですけど、仙台の有名店ばかりを手がけていらっしゃいますね。家具の製作もやってらっしゃるんですね?

本当はメインは家具の製作なんですよ。独立するときには工房を持って家具の製作をしようと思っていて。ただ道具や機械を揃えたりするのがお金が掛かるじゃないですか。ちょっとずつ集めながら始めていたんですが。ベースは家具なんですけど、内装屋としてのイメージがもしかしたら強いとは思います。内装を手がけたお店の什器などはもちろん製作させて頂いてるんですけど。

水越さんは内装業、空間デザインの傍らオリジナルプロダクトの製作も行っている。家具製作や自身の生活のなかから生まれる商品はどんなきっかけで誕生したのだろうか。

オリジナル商品の制作はどんなきっかけで?

Holzの平山くんとAntique Showの川島さんとかねてから仲良くさせてもらっていて。付き合いが長いんですよ。で、entwineというイベントがあるのでぜひ出店してみないか、というお誘いを頂いてじゃあ一度自分に向き合ってオリジナルを作ってみようかと。

そもそも平山さんが水越さんに声をかけられたきっかけは?

(平山) entwineに単純に家具寄りの人がいなくて。出来る事なら家具寄りの人がいてほしいなあと思っていて。それでたまたまAntique Showの川島さんのところで水越さんと出会って。あ、いた(笑)と。

そのentwineにはじめて出品されたプロダクトというのは?

えーとまず”CHIGIRI”ですね。それからこのキッズ用の椅子なんですけど。自分にも子供が生まれまして、長男の誕生のときに作ったんですよ。やっぱり特別な思い入れがあって。ずっと持っててもらえるようにというコンセプトで作って。そういう必然というか、まさに作りたくて作ったものもありますね。

なるほど。もう一つのオリジナル・プロダクトであるCHIGIRIについてなんですけど、ちょうど、西方さんという山形のジュエリーデザイナーのお宅にお邪魔した際に木が置いてあって。それでその木の裂け目をちょうどチギリで塞いでたんですよ。その時にこれがチギリだよ、と平山さんから教えてもらって。これって元々の由来はそういう用途なんですよね?

そうです、そうです。

元々木を塞ぐものだったものをこのように蝶ネクタイ、アクセサリーとして使えますよっていう。こういう発想が生まれた背景とは?

そう、元々まさに仕事でチギリを埋めるために使っていて。ある日なんか蝶ネクタイみたいだなーと思って。で、そのぼんやりと考えていたアイデアを平山くんから声をかけてもらったときに。あ、これだと。

発想が面白いですね。用途が用途だけに。先ほどの息子さんのために作られたという椅子の話が出ましたがデスクも今制作されているとか?

そうですね。長男が小学生に入ったんですけど。ずっと使えるもので子供用のデスク、いわゆる勉強机ですね。市販のものでいいのがないなあと。ぼくやぼくの周りの親御さんからもそんな声が聞こえてきていて。

なるほど。什器として納めるというのはクライアントのオーダーやニーズに応えていく作業と、そうした製品のように生活の中の気づきや必然から生まれてくるものとふた通りあるわけですよね。ご自身のなかでバランスを取ってやってらっしゃる事もあるんでしょうか?

そうですね。やっぱりもっと家具を沢山作りたいと思ってたんですよ。元々家具屋を標榜していただけに。ただ頂くお仕事は内装のお仕事で。有難いお話なんですけど。どうしても時間のバランスが取れなくて。やりたいけど出来なくて、でもやりたくてみたいな。やっと踏ん切りがついてそういう自分のなかから湧き出る家具作りみたいな事が出来る様になったんですよね。

 なるほど。

もちろん内装の仕事も楽しいんですよ。飲食店ですと実際に厨房に立たせてもらったりする事もあり、いつもとは違った目線で見れたり指摘出来たりする事があるかもしれないと思って。そんな事もさせて頂いたり、常に発見の連続の仕事ではあるんですけど。

立って見てわかる事もあるんですよね。

そうですそうです。


これから家具製作を考えていらっしゃると思うんですけど、作るからには誰かに使ってもらうっていう用途を前提に作るわけじゃないですか? 家具を作るってことを通じて何かを社会に訴えられたい、表現されたいんだと思うんですけど。どんなことを表現されたいですか?

”dessert”って名前にしたのって食後のデザートという意味のデザートなんです。主体になるものがあってお腹いっぱいだけどちょっと食べたいみたいな女性的な感覚ってあるじゃないですか。そういう部分になれたらいいなと始めた部分があって。内装でも家具でもフッと微笑ましいような、何かになれたらいいなあと。

主菜でも副菜でもなく、デザートにした感覚って面白いですね。

 それは家具を使う人、お店もそうでお店に立つ人、お店に来る人が主体という感覚なんです。

今回ご紹介したdessertさんも出展するentwine/エントワインには、東北から鹿児島まで『衣・食・住』様々なジャンルで活躍する27ブランドが集います。開催場所は、紅葉から秋を感じる盛岡市・旧石井県令邸。建物に美しく絡まる[つた/entwine]のように、出会い繋がる場所であってほしいと願って名付けられた三日間。たくさんの[縁/en]がうまれますように。

10/04(木)バイヤー様・関係者様のみご入場いただける商談日です。10/05(金)10/06(土)は一般のお客様もお買い物を楽しんでいただけます。

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