日常のなかにある違和感[TATAMIZE]

TATAMIZE(タタミゼ)はヴィンテージクローズをベースに、パターン・裁断・縫製・仕上げと、その工程のすべてをデザイナー自身が手がける『HAND MADE CLOTHING』ブランドとして、2004年にスタート。仙台市の中心部でありながら青々と緑が生い茂る閑静な定禅寺通りの古いマンションのなかに”TATAMIZE”のアトリエ兼ショップ「NOWHERE ELSE」がある。エレベーターに乗って渡り廊下を歩いていくと聴こえてくる静かなピアノの旋律。気持ちの良い風が抜ける空間。ほのかに明るい照明と自然光が差し込む場所で代表の八重畑さんにお話を伺った。

元々ぼくもワークウェアがすごく好きで。TATAMIZE には勝手にシンパシーを感じていたのですが。年齢はおいくつですか?

ぼく今年41です。1977年生まれで。

ぼく今42で今年43なので。

あ、そうなんですか。

たぶん世代的に古着を掘った感じですよね?なのでルーツというかお好きなところが似ていたり、シンパシーを感じる部分が多くて。ヨーロピアンワークウェアだったり、ミリタリーの要素だったり。面白いなと思って拝見していました。

ありがとうございます。

ベースにあるのはヴィンテージウェアだと思うのですが、そういうブランドにしようと思ったきっかけはどんなところにあるんですか?

理由は一つじゃなくて、色々あるんですけど。古いものが好きで、最初は古着と自分が作ったオリジナルの洋服を置きたいと思っていて。古いものの良さを生かしたオリジナルみたいなものを作りたいと。

当時はレプリカブランドみたいなものがたくさんあったんですよ。当時のプロダクトを忠実に再現、みたいな。そういったものではなくて。

なるほど。それは何というか古いもので時代を超えて残っていくものをご自身なりに再解釈して生み出したいと思ったという事ですかね。

洋服を作る時は過去のアーカイブからデザインソースを探されたり、ヒントを得る感じですか?

昔は結構探して、面白いものないかなと掘ってた感じがやっぱりあるんですけど。そうするとデザインじゃなくて、編集してるような感じになってきて。こんなネタ知ってるんだぞ、みたいな。そういんじゃなくて、せっかくぼくは縫えるので、作る手順を分かった上で自分ならどういう風に作っていくかを大事にしています。ルールはどうでもよくて、ちゃんとこうワークキャップならワークキャップとしての機能をちゃんと考えて作ったときに出てくる歪さみたいなものが自然と出てくればいいと思います。

インスタグラムでも”ワークマン”に置いてもいい(笑)、って書いていらっしゃいましたね。

そうそう、全然今のブルーワーカーの方に着て頂きたいです。

生粋の洋服好きだったという高校時代から20代まで。古着はもちろん、モード系やモッズ、パンク、スケーター、ヒップホップ、裏原宿系などまずはファッションから様々なカルチャーに入っていった八重畑さん。洋服を変えることで違う自分になれる気がしたのだと言う。

今洋服を作る上でインスピレーションを受けるソースって何ですか?

洋服以外から洋服を思いつくことがあるんですけど、誰かが作った何かというよりは普段何気ないものが変な風に見えちゃうときってあるじゃないですか?

信号待ちをしている人がバッグを持ってて、そのトートバッグがヨレてたり摘ままれていたりするとそのバッグはそういうデザインなんじゃないか、と思えてきたりするんです。そういう日常のなかにある変な違和感から着想を得ることが多いです。

日常のなかにある見間違い、ちょっとしたエラーみたいなものがデザインソースになる。面白いですね。

いまこちらにアトリエを構えられて、生活と地続きでデザインとか洋服を作る作業をなさっていらっしゃると思うのですが、生活と仕事とのバランスっていかがですか?

ぼくは朝早起きで5時にはこちらのアトリエに出勤して、荷物の集荷の来る18時には仕事を終えるという毎日を送っています。家までは歩いて40、50分かかるので仕事が終わって帰宅途中に歩きながら一番いろんな事を考えるんです。デザインとかこれからこうしたいとか。そうするとどんどん夢が広がってきて、すごく興奮してきて。その後一晩寝て、一回朝早く起きるとその帰宅途中考えていたことの中で必要なものだけ残るっていう(笑)。なので夜のうちに始めないっていうのがいいのかな、と。

なるほど。昨日の夜の残りを割と自分の中で咀嚼して、整理整頓されて出てくる。それが朝だって事ですね。ラヴレターと一緒ですね。推敲しないで書いちゃうとすごく恥ずかしいのが出来ちゃう(笑)

泣いちゃったりとかね(笑)

八重畑さんは今年の5月、アトリエに併設する形で自身のコレクションを販売するショップ”NOWHERE ELSE”を構えた。毎年コレクションを発表し、全国のリテイラーさんへ洋服を卸す。そうではない新たな取り組みの理由を伺った。

洋服って意外と身近なジャンルだと思うんですけど、結構仕組みが珍しいと思うんです。手仕事は手仕事なんですけど、結構単価が安いよな、と。

春夏秋冬展示会のシーズンが決まっていて、納品やセールのタイミングが決まっていて。去年と今年はそんなに変わんないけど、なんか違うもののように提案していくじゃないですか。ぼくらは作りたいものがあるので発表するんですけど、お店さん的にはその時売れるものを優先に仕入れる訳で。発表したいものを発表できなかったりするんです。やりたいことが世の中の仕組み的に出来ないというのであれば自分のお店を持って発表すればいいと思ったんです。

例えば八百屋さんのように、単純に自分が作ったものを並べて売る場所を作ろうと思ったんですね。

つまりコレクションを発表することやリテイラーさんでの販売がパブリックなあり方だとすれば、自分のニーズを追求できる私的な場所という事ですかね?そのふたつを自分のなかでバランスを取っていくと。

そうです、そうです。

-NOWHERE ELSEという店名の由来は?

さっきも言ったようにアパレルって早いというか、前のシーズンをどんどんセールにしちゃって。ろくに紹介もせず、どんどん重ねて刷新していくわけじゃないですか。普通工場だったらロットがあって今日思いついたら今日作れないけど一枚でも二枚でも自分で縫って提案できるから、ここにしかない場所という意味で付けたんですよね。

この場所をどんな風に発展させていきたいですか?

このマンションは空いてるんですよ。お隣さんが住居として使っているくらいでほとんど空いてる。しかも賃料がすごく安い。なにかやりたいと思っているけれど、金銭面でハードルが高いと思っている人がここでどんどんやればいいのにと思います

[TATAMIZE]も出店する東北発の合同展示会”entwine”が今年も岩手県盛岡市の旧石井県令邸で開催されます。今回は『衣、食、住』様々なジャンルで東北を拠点に活動しているメンバーを中心に、全国から27ブランドの出展となります。尚、10/4(木)はバイヤー様、プレス関係者様のみ。10/5(金)、10/6(土)はどなたでも入場可能で一般のお客様も自由にご入場頂けます。ぜひ八重畑さんに直接会いにいらして下さい。

entwine公式ホームページ 

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