#24 名須川町11-28

今日見上げた月は、限りなくまんまるに近かった。

満月かな?と思ってカレンダーを確認したら、2月20日(水)が満月。今日はその前々夜だ。

月の明かりは、真ん中から外へ向かうにつれて、だんだん暗くなっていくのではない。もちろん月が一番明るくて。でも、そのあと一度暗い輪が月を囲んで、その暗い輪をまた明るい輪が囲む。

先日父と母と、子どもたちと蕎麦を食べた。名須川町の喜六そば。

まだ会社員だった頃、風邪気味のときはよくここに立ち寄った。蕎麦のメニューは冷たいそばとあたたかいそばの二種類。冷たい方は大根おろしの汁にそばつゆを入れていただく。

辛い。大根おろしだもの、辛い。

食べるとなんだかすーっとして、いろんな菌もいなくなって、元気が戻るような気がして、蕎麦湯を入れてくーっと飲み干していた。

こどもにはだし汁をだしてくれる。最初、「おかあさん、わかめみたいなにおいがする…」と言って苦い顔をしていた娘も、つゆを入れたら好みの味になったようす。よかったー。まだ啜ることができないので、はむはむと啄むように食べていた。

父と母との食事は久しぶりだった。「おいしいよ」とは言っていたが、大根おろしがでてきたときに眉間にシワが寄っていたのを私は見ていたよ。ちょっと無理をさせたなあ。

はっきりとYes、Noを伝え合う、さっぱりとした、よその家族に憧れたこともあった。かっこいいなあとおもって。

でも、これが私の家族で、父と母。今はこのはっきりしない、やりとりも嫌じゃない。

近い人に気持ちを伝えることが苦手なんだよな、と見上げた今日の月に自分を重ねてしまう。

近い部分が暗くて、少し離れると明るさを増す月みたいに、ちょっと離れた人には優しくいられるのに、近しい人ほどうまくいかない。伝えよう、というタイミングを逃したり、照れたり、怖くなったりしてしまう。

もしかしたら両親だってそうなのかもしれない。そうだったのかもしれないな。

それでも、月がちゃんと、影ができるほどに明るいように、「大事に思っている」という気持ちは真ん中にあったんだろう。

わたしもそれなりに大人になったはず。もうすこしだけ、そういうことも上手になりたいものです。

今日もLITERSにお立ち寄り、ありがとうございます。

弱気な夜はチョコレートを食べよう。

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