#56 盛永省治展 @Holz

Holzのいつもの扉を開けると、中はふわりと木の香り。

(展示初日の写真なのでたくさん商品が並んでいますが、今日行ったらだいぶスカスカでした)

木の種類も、かたちも、いろとりどり。

「クスノキは樟脳(しょうのう)の香りがするよ」と教えてもらったので、鼻を近づけてみる。ミントみたいな、緑と青色の絵の具をソーダで薄めたような。

手触りはつるりと。

気持ちが良くてずっと撫でていると、わたしの手のひらにまで、涼しい香りがうつります。

このスツールは、「とっちり」とした大きさ。もし家にあったら、家族が一人増えた気持ちになりそうな、あったかい存在感。上から見ると、雪だるまみたいに二つに分かれているように見えたのだけれど、くびれのところも継ぎ目はない。一本の木。

これは黒柿という種類の木を使っているそう。水墨画みたいな滲み。ふちにワンポイント。女性のお客様が「この持った感じが好き、わあ…かっこいい」と、なんども手に取って。

まわりと比べてもひときわ赤い木。アフリカの木なんだそうだ。「削っていると、手も服も真っ赤な木屑で赤く染まる」と省治さん。

なにか違う素材なのか、と思うほどに光る光る、うつわ。

こちらの木の種類を尋ねると、「桜だよ」と教えてもらった。桜の木ってこんな色なんだ。

顔を近づけると、器の中はあの、桜の花の季節。

そうだよな、「地面から4,5メートルのところを使う」と省治さんが話していた。

これも、花咲く桜のまんなかにある、頼もしい幹だったんだな。ここでこうしてその幹の中を覗き香ることができるなんて魔法みたいだ。

作品ひとつひとつを、じっとみつめる。

そこから空へ高く伸び、枝葉を伸ばし、風に吹かれていた一本の木が、器に重なる。

外にでて、少し遠くから眺めたHolzは、彩り豊かな木々がしげる、小さな林。

展示は7/21(日)まで。

ぜひ手に取って、なでて、香って、持ち上げてみてください。

木のこと、今回の展示のこと、もうちょっと詳しく知りたいなという方は、Holzさんのブログへどうぞ。


今日もLITERSにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。

手のひらの小指と小指を隣り合わせて、水を飲む時に作る「手の器」に一番近いのは、ここでみた、木の器じゃないかな。そっくり。

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