「下ノ橋教会、新しくなったね。前と似てるけどやっぱり少し違う。好きだったな、前のも。あ、信号を左に渡ろう。」
「ここのベンチ、よくない?あんまり目立たない場所にあるんだけど。桜の時期は枝垂れ桜がカーテンみたいになるよ。中津川、っていうとみなさん、上ノ橋のほうに向かわれますでしょ。それも『中津川』って感じでいいんだけどね。反対側に今日は行きましょう。」
「今日も暑くなりそうだね、わたし、暑いのには弱いのよ(笑)。このくらい暑くなるとさっきのワンピースはぴったり。年齢を重ねていくと、20代、30代、40代、50代、それぞれの変わり目で何着たらいいかわからなくなる時期ってあると思う。昔お気に入りだったのになんかしっくりこなくなったり。そういう時期に蟻の服を選んで、ストレスのなさや天然の素材の心地よさを気に入ってくれる方も多いの。」
「あ、この花、やーかわいい!ちょっとファンキーだね。オジギソウみたいな葉っぱ、だけどお辞儀はしないね。なんていう木なんでしょ。あとで調べてみよ。」
「健やかに、生きていきたいなと思って今いろいろメンテナンスを始めているところなんだけど、ストレス、っていうと精神的なストレスの方を思い浮かべるでしょ? 人間関係とか、悩みだったりさ。もちろんそれも割合として大きいんだけど『体感のストレス』って実は結構あるんだって。暑い、寒い、湿度が高い。日本人の国民性というか、そういうの我慢することが美しい、って思ってしまう。」
「ここ、今緑だけど、桜のトンネルができるの、春にまたみにきてみて。」
「紫陽花だ、ちょっとおわりかけ。河原に降りるか、杉土手いって反対サイドか。どっちがいいかな。ここは地元民だけ、ってかんじがするのがお気に入り。杉土手いこうか。」
「あ、夏の匂いがする。緑のにおい。川の音もすごい。」
「服でストレスかけたくない、みたいなところはあるわけ。きつかったり、暑かったり、はいやだなあというのがありまして。軽やかで、空気を含んで。『かわいい、似合う』だけじゃなくて、ストレスがないっていうのは大事にしてる。」
「なんかいいでしょ、この景色。」
「これ、何橋だっけ・・・、どこかに書いてあるかな。」
「工房蟻.で最初に作ったのってあのワンピース?ってよく言われるんだけど、違うの、HAKAMAパンツ 。その前からお洋服は作っていたんだけど。日本のお洋服をヒントに作る、和の服からエッセンスをもらうっていうのでHAKAMAパンツを作りはじめたころに、kasiさんのお店ができたよ、ってなって。『展示会をやろうよ!』『やりたい!』って。それが2011年。そのころ2人でやってて、定期的に10枚とか納品するようになって。あの色が欲しかったです、とか、もう売り切れてました、とかkasiにくるお客様から感想いただくことも増えてきちゃって。で、『受注会やってみない?』ってお話をもらって。でもそれって、私が一番やりたくないことだったのね。」
「同じ服をいっぱい作るより、フィーリングで一着を作りたい、って感じだったんだよね、そのころは。だから、kasiさんじゃなかったらわたしはやらなかったなあって思う。で、やってみて、あれよあれよと今ですよ、2022年(笑)今の工房の場所にきたのは20年くらい前。」
「あ、飛行機だ。南に行くのかな。暑くなかったら、奄美か瀬戸内海に行きたい。こっちが寒い時に行きたい。暑くなかったら(笑)」
「夏の雲だ。あ、ここ下中だよ。さっきの橋の名前書いてある!御厩(おんまや)橋だ、こっちが川原橋。大沢川原の川原の字とおんなじ。」
「これ、銀杏。黄色くなったらきれいね、銀杏拾えるよ(笑)」
「あ、いい風が吹いてきた。カーテンが揺れてるところは岩女ね。こちら側の川沿い、何気に静かでよいんだよね、日常感があるというか。上ノ橋側は観光ならおすすめだけど。もっとほっとする、肩の力が抜ける。」
「15分、20分くらいだったけど気持ちいい散歩だった。工房にもどろうか。建物に入ると涼しいね。工房も西日が入るまでは涼しいの。」
ードアを開ける音ー
「ただいまー!暑かったよー!」