夕方5時半。
「おかあさん、赤ペンがないから買ってきてほしいんだけど。でも6時15分までに帰ってこられる?」
「うん、多分大丈夫!急いで買ってくるね!」
道路の雪も、建物の影になっている場所以外はだいぶ溶けたし、自転車で家を出た。外はもう真っ暗。
寒さで痛む頬のチリチリと、星のチカチカが重なる。
豊かな星空。
ギリギリ6時15分に間に合った。「いそいで!」子供達に促され階段を上がり、テレビの前で正座して待機。テレビをほとんどつけない我が家ではレアな光景だった。
6時半頃から始まったのは、「ストームグラス」をレポーターの人が体験するという番組。
テレビの中でニコニコと話す彼と、最初にであったのは、昨年の10月。
「パラレルワークの相談室」という、月一でゆるく開催している場にきてくれた。
「まだ盛岡にきて間もなくて、仕事もこれから探すんです。でも東京でずっと続けてきたことがあって」
そんな風に、ストームグラスのことを話しだした。
何かをずっと続けることは水面下の時間のほうが長い。
迷って、悩んで、やめようかと思って。そんな時間は華々しい時間よりあきれるほど長い。
あの10月の日。初めて会った時。彼はもう水面から頭を出していたのかもしれないけれど。
そのあと間違いなく、自分の力で水から上がったのだ。
きっと、「みなさんが、よくしてくれたおかげです」って彼はいうんだけれど。
自分で選んで、今の自分の生活を作った。
そういう人生の中でもドラマチックな場面を、ここ3ヶ月で見せてもらって、やっぱり、ああ、まだ何者でもなかった時の彼を知ることができてよかったなあと思う。
いいもの見せてもらっています。ありがとう。
きょうもLITERSにきていただき、ありがとうございます。
我が家のストームグラスによると、24時間後の盛岡は雪です。