Due Mani 田植え@自然農園ウレシパモシリ

6月3日、朝7時半集合。夏の空色、入道雲の下、窓を全開にした車に乗り合い、東和町にあるウレシパモシリさんへ向かいました。「亀の尾」の田植え作業を、おてつだいに。

ぐるりと高い木々に囲まれた中にある田んぼ。にわとりの声をBGMに、農園の代表、酒匂(さかわ)さんから田植えの説明を聞きます。

「機械で植えた稲よりも、手で植えた方がしっかり根付く」と酒匂さん。

装備を整え、田んぼへ向かいます。

苗を植える場所はあらかじめ引いてある線と線が交わるところ。8本を目安に苗を手で小さく分けて植えていきます。深さは第一関節分まで、一人3列ずつ。根にダメージが少ないよう、土をほぐしながら苗を数えて、植える。植える。

DueManiのシェフ小澤さんはこの速さ。横一列でスタートしたはずなのに、遥か先でした。

青い屋根は鶏舎。「にわとりって、こんなに気持ちよさそうに鳴くんだね」と、かがんだ背中に目一杯お日様を浴び、隣の3列を植えていた方と笑ったり。

空を飛ぶ鳥の弾むような声と、鶏の長くおしゃべりするような声、足が浸かる泥の感触。

苗を小さく分けると、どうしても根が切れてしまう、ごめんね、と。

午前中で一枚が終了。終わる頃には膝の裏側が日焼けで真っ赤になっていました。日差しでヘトヘト。喉はカラカラ、お腹もぐーぐー。

手と足を洗ってお昼ご飯に。「ウレシパさんのごはんは、本当においしいよ」小澤さんに聞いていたけど、ほんとうにその通り。

ウレシパさんのお料理は、一口たべては「へー、ごぼう!」「はー人参…。」「わーお肉!」しげしげと眺めたり、小さくかじって断面をみてみたり。ゆっくりと、たっぷりと、食べたくなるお皿ばかりでした。

鍋丸ごと同じ味になる、我が家の煮物との差よ…子どもたちにも食べさせてあげたいなあ。 

ご飯といっしょに、自己紹介の時間もありました。一期一会ですが、午前中を終え、すっかりチームのような気持ち。

そして料理を仕事にしている方って、作るのもプロだけど食べるのもプロなんだなあと思うような食べっぷり。(小澤さんはおにぎり6.5個食べてた)

目にも耳にもにぎやかなテーブルを飛び交う、調理や、産地、農法など、耳慣れない言葉。「田んぼや畑」と「お皿の上」のその距離は、私が思っていたよりずっと近い。うんうんと頷き、むぐむぐと頬張りながら、その関係性をまるごと味わっているようでした。

そして午後の部へ。

田んぼに足を入れるとひんやりと冷たい。午前中よりジリジリと背中が暑くなる日差し。でも、一枚植えてでだいぶ慣れました、二枚目もがんばるぞー!

植えながらポツポツとお話も。遠くても、人の話す声がすっと通るのはなぜなのかな。空気がきれいだからなのかな。

時折ふーーっと大きめの風が田んぼを横切って、植えたばかりの苗が風の通った順に揺れて、その度に「今のはいい風だったね」と声がきこえて。

土がたくさん付いた手のひらは、ため池の水で流します。

参加していたお洋服屋さんの男の子は「きれい、って感覚の基準が新しくなる」と話していました。居心地のいいお店、すてきな服、ふるまいや言葉。「きれい、うつくしい」への感覚を大事にしているであろう彼の口から出た「基準が新しくなる」というフレーズはとても頼もしく。

午後のおやつは冷たいカスタードと、キュッと酸っぱい梅のゼリー。

午前、午後で2枚の田植えが終了。

働いたあとにはきらきらのごほうびがまっていましたよー!ハシゴをもって行った先にはおおきなサクランボの木。

稲刈りや草取りもあるね、またね、と、1日ご一緒したみなさんと別れ、帰路につきました。


目次