「おいしかった、また作って」

日中、家で作業の日。午前授業で帰宅したコウと一緒に冷たい素麺を食べた。
素麺、売り場に行くといろんな種類があってどれも美味しそうなんだけど、我が家は白石温麺。
宮城に住んでいた頃に初めて食べてからずっと、だなあ。
麺が短くて、小さめの鍋でも200g茹でられるちょうどよさが気に入っている。

つゆは豚肉を炒めたのをいれて、あったかくした。

春から、菅原家の冷凍庫にはしゃぶしゃぶ用の豚肉が必ず入っている。
コウが中学生になって始まった毎日のお弁当。
特に強制しているわけではないのだけれど、朝弱い私があてにならないことを早々に悟ったのか、
自分のお弁当を自分で作るようになったコウ。
常備してある豚肉を朝からジュージュー焼いて、生姜焼きにしてどんっとのせるのがお気に入りのようす。

「魚をあげるか、釣り方を教えるかだね」
コウのお弁当作りの話題になったときに、そんなふうにコメントしてくれた人がいた。
私自身はそんな徳のあることをしているわけではないので、てへへと思いつつ「釣り方」って表現なるほどなあ、と感心しちゃった。

釣り方も、正しいやり方を先生に教わるより、失敗したり上手く行ったりを繰り返しながら工夫するのが楽しいんだろうな、と思うし、
コウにとってのお弁当、料理も、それに近いのかもな。

お昼ご飯のあとの「おいしかった、また作って」の一言には、小学生のときにはない「ごはんのありがたみ、ちゃんとわかってる感」が滲んでいたようで、とてもとても嬉しかった。

今日から下半期。夕方にみた細い月。花火がしたくなるような空気の日。

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